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呈示期間 【ていじきかん】
手形、小切手のどちらも支払ってもらうための呈示できる期間に定めがあります。手形は、「呈示証券」といって、手形を持っている人が手形金額を受けるためには、振出人(支払人)に支払って下さいと、見せる事が要件になっています。支払いの請求のための手形の呈示は、銀行を通して行われるのが通例です。受け取った手形に、最終の裏書をして、自分の取引がある取立銀行を通して呈示することになります。
手形の呈示期間
手形法上では、支払いを求めることができるのは、支払い期日を含めて3日間(銀行営業日で3日間)ですので例えば、支払日が土曜日(銀行休日)の場合は、月曜日(銀行営業日)の扱いになり、呈示期間の計算は月曜日から、火曜日、水曜日(各銀行営業日)までの3日間になります。
支払呈示期間をすぎると、手形は「呈示期間経過後」という理由で不渡り返却されることになりますが、実際は、支払い呈示期間に間に合いそうにない時は、取立銀行が受付で取り扱いませんので、よほどの事情(取立分の郵便延着等)がないと、この付箋がつくことはないと思います。
万一、手形を呈示期間内に呈示しなかったとしても、手形そのものが無効になることは時効期間内の3年間は振出人に手形金の支払いを請求することができますが、実務上大変不便ですので、呈示期間(出来れば支払日)に間に合うように呈示すべきです。
小切手の呈示期間
小切手の呈示期間にも定めはあって、振出日の翌日から10日間です。ですので、振出日も含めて11日間に、支払人に呈示することが必要になります。この期間を過ぎて呈示すると「呈示期間経過後」という理由で不渡りで返還されることになります。ですが、小切手の振出日は、手形の支払期日と全く違って、実務上は、呈示期間を多少オーバーしても振出人の了解をえて、銀行が支払いに応じる場合もあります。
小切手は本来いつでもすぐに現金化される性質のものです。 小切手を振り出したら、呈示期間にかかわらず、いつ呈示されるかわかりませんで、いつ回ってきてもいいように準備して、小切手が回ってきた時にバタバタ当座に入金せずに、その金額の預金はいつも確保しておくようにすべきです。
抵当権 【ていとうけん】
手形 【てがた】
手形(てがた)とは、文字本来の意味は手を物に押し付けるなどしてついた手の形や、掌に墨などを塗って、紙などに捺した手の形のことをいいますが、それから派生して一定の内容の証明となる証文に手形を押したことから、一定の資格や権利を証明する書面そのものも手形といわれるようになり、通行手形(関所手形)、切符手形(切手)、約束手形、為替手形といった使われ方をされていますが、現在では、単に「手形」といった場合には、広義の商業手形、つまり有価証券としての一種である約束手形と為替手形の事(広義には小切手も含む)を指すのが一般的になっています。
現在の手形の起源は、12世紀頃のイタリアの商業都市で両替商が発行したものだといわれています。日本における現行の手形制度は、日本独自の制度が発展したものではなく、明治以降、ヨーロッパの制度を取り入れて発展させたものです。
手形は現在、最も普及している信用取引の手段ですが、法的には、「無因証券」に分類されます。手形は一度振り出されると、原因にかかわらずに、それ自体が独立して有効なものと見なされます。裏書で、第三者に譲渡され次々転々と流通していく事になりますが、手形の性質の中では、最も大事なポイントになります。他に手形の法的性質をあげれば、まず第一に完全な全有価証券とされています。他には「要式証券」(手形用件をみたす)、「設権証券」(実際の取引がなくても手形として有効)、「指図証券」(譲渡人を指定して裏書をする)、「文言証券」(書かれた通りに効果が生じる)、「呈示証券」(履行請求のために呈示する)等の性質の証券になりますが、以上のようないくつもの性質により、流通性を持つ手形において速やかに権利者が確定し簡易迅速な取引を可能とし、手形は「将来の支払い」を約束する有価証券としてすぐれた、すばらしい信用取引の手段として広く一般に普及しています。
手形貸付 【てがたかしつけ】
簡単にいえば、借用証書のかわりに借主から貸主に約束手形を振り出して、振出人に貸し付ける方法です。振出人が借主ですので、手形割引のように、手形を持ち込まれた裏書人(割引依頼人)から買い取ってその方に換金するのではなく、手形を振り出した振出人に融資金(貸付金)をお渡しするのですから、商取引の裏付けのある手形割引とは全く異質のものになります。
手形交換所 【てがたこうかんしょ】
単に「交換所」と言えば、手形交換所のことをさして使います。
手形交換所(てがたこうかんじょ)とは、一定の地域内の金融機関が申し合わせて、定時に決まった場所へ約束手形や小切手などを持ち寄って、その決済交換を行う場所を言います。取引先から金融機関に預金や取立依頼のために持ち込まれた手形や小切手を、口座間の残高移動によって処理することで、金融活動の円滑化を図り、その地域内で決済すべき手形類を持込交換した上で、金融機関同士の債権債務の差額を計算して、互いに決済することを、手形交換制度といわれています。
手形抗弁 【てがたこうべん】
抗弁という言葉そのものが意味がわかりにくい難しい用語で、普段はつかわれませんが手形抗弁(てがたこうべん)とは、手形金の請求を受けた手形債務者が、手形金の支払を拒むために請求者に対して主張できる事由(抗弁)をいいます。抗弁の主張できる者の範囲により、物的抗弁と人的抗弁に分けられます。また、どのような事由が手形抗弁に当たるかは、手形法に規定があるもののほか、判例などの解釈によって認められています。
物的抗弁
物的抗弁とは、請求を受けた者すべてが、手形のあらゆる所持人に対して主張することができる抗弁のことをいいます。そもそも手形が有効に成立していなかった場合や、手形債務が消滅していることが明らかな場合が当たります。
手形債務の成立を否定する抗弁
手形要件を欠くなど手形行為の形式的な不備、手形偽造・変造、無権代理による手形行為、意思能力・行為能力を欠く手形行為、絶対的な強迫、権利保全手続を欠く場合などです。
手形上の記載により判明する抗弁
支払い済みで債務消滅、相殺による債務消滅、債務免除、無担保文句のあること、満期が到来していないこと、確定日払手形において債務が時効消滅している場合などです。
そのほかの事由による抗弁
供託がされている場合、「一覧払手形」において債務が時効消滅している場合です。
人的抗弁 (広義)
広義の人的抗弁とは、請求を受けた者が、特定の所持人に対してのみ主張できる抗弁のことです。この抗弁が主張できる場合としては、手形所持人が他の第三者に手形を譲渡して、その譲受人が請求したときに、譲受人に対してこの抗弁が主張できない限り抗弁の主張はできないことになります。
無権利の抗弁
すべての手形債務者が、特定の所持人に主張できる抗弁で、手形所持人が盗んだなど、 本来の権利者ではない場合があたります。
人的抗弁 (狭義)
特定の手形債務者が、特定の所持人に主張できる抗弁のことです。
人的関係に基づく抗弁
手形を振り出した原因関係(取引など)が消滅した場合など、個人的な関係により手形金の支払を求める必要がなくなった場合、手形債務者は手形金の支払を拒むことができます。第三者に手形が譲渡された場合は、原則、人的抗弁を主張できません(このことは「人的抗弁の切断」と呼ばれます)。 その他の抗弁の原因として、悪意の抗弁等、細かく分けて呼ばれています。
手形事故 【てがたじこ】
手形の破損
びりびりに破れた手形でもセロテープ等でうまくつないで、原形に戻すことが出来れば、有効です。手形の要件の部分の、金額、支払期日、支払地、振出人の署名、印鑑などが明瞭ならば手形としてなりたちます。又、汚損等の汚れの場合も、上の手形要件がハッキリ見えていればOKです。手形要件を満たさないような場合は、裁判所に「公示送達」の申し立て後の「除権判決」(除権決定)で、手形代金の請求をするようになって、かなり手間ひまがかかりますので、そのような手形はもらわないように、又受け取った手形は間違っても粉々に破いたり汚したりしないように丁寧に扱って下さい。
手形の紛失(手形の盗難)
集金した手形を紛失したり、盗難にあった場合は、すぐに振出人に連絡してください。
又同時に警察にも届けでて警察証明をもらって下さい。
振出人から支払銀行に連絡してもらい、紛失届と手形類差止依頼書を交換所に提出してもらう手続きになりますが、以後の手続き等は取引銀行でも教えてもらえるはずですので、取引のある銀行にも詳細をお聞きください。
以後、「除権判決」(除権決定)がでるまで、裁判所を通して「公示催告」の公示等の手間ひまのかかるややこしい手続きが続きますので、手続きの詳細は省きます。
又、「除権判決」(除権決定)については、別に用語解説を入れていますが「除権判決」(除権決定)によって回復するのは形式的資格のみで、有価証券上の実質的権利までを回復させるものではないと解されており、除権決定前に手形等を善意で取得した者が存在する場合においては、除権決定を得ても有価証券上の権利者としての地位まで回復することはできません。
ですので、集金した手形や小切手は、とにかく、大事に管理する事が一番重要です。
手形訴訟 【てがたそしょう】
手形訴訟(てがたそしょう)は民事訴訟法に定める訴訟形態の一つです。 手形金の支払請求とこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求のための略式訴訟です。手形に関する訴訟はその性格上、迅速さが要求されるもので、これに応える形で設けられました。
手形が不渡りになって戻ってきた時の回収方法の一つですが、どうしても交渉によって解決しなければ、訴訟をすることになりますが、それには手形訴訟という簡単な方法があります。通常の訴訟なら判決までに1年以上かかるのに、2~3ヶ月のうちに判決をしすぐに強制執行できるようになっています。手形訴訟は、裁判の相手方の振出人か裏書人の住所または手形の支払地を管轄する裁判所へ訴訟を起こします。振出人や裏書人に関係なく、原告の所在地の管轄の裁判所で提訴することができないことに注意すべきです。手形訴訟による裁判を希望する場合は、訴状に記載したうえ、手形や小切手などの書面による証拠だけが認められて、証人調べは行われません。裁判所に、手形訴訟の訴状と、不渡りになった手形や小切手のコピーをつけて提出すると、ほぼ1回の審理で判決(手形判決)をもらえます。手形判決には、仮執行宣言がついてすぐに強制執行ができるようになっています。
手形の印紙 【てがたのいんし】
小切手は金額にかかわらず、印紙をはる必要はありませんが、約束手形の振出人(為替手形の引受人)は、金額によって収入印紙をはらなければなりません。
印紙の貼り忘れ等で印紙を貼ってない手形も、効力からは問題なく有効ですが、印紙税法からは印紙税未納の脱税行為になりますので、手形金額できまった額の印紙を手形面上にはって下さい。
約束手形(為替手形)
手形金額 | 印紙税(貼付) |
---|---|
1円~99,999円(1拾万円未満) | 0円(非課税) |
100,000円~1,000,000円(1百万円以下) | 200円 |
1,000,001円~2,000,000円(2百万円以下) | 400円 |
2,000,001円~3,000,000円(3百万円以下) | 600円 |
3,000,001円~5,000,000円(5百万円以下) | 1,000円 |
5,000,001円~10,000,000円(1千万円以下) | 2,000円 |
10,000,001円~20,000,000円(2千万円以下) | 4,000円 |
20,000,001円~30,000,000円(3千万円以下) | 6,000円 |
30,000,001円~50,000,000円(5千万円以下) | 10,000円 |
50,000,001円~100,000,000円(1億円以下) | 20,000円 |
100,000,001円~200,000,000円(2億円以下) | 40,000円 |
200,000,001円~300,000,000円(3億円以下) | 60,000円 |
300,000,001円~500,000,000円(5億円以下) | 100,000円 |
500,000,001円~1,000,000,000円(10億円以下) | 150,000円 |
1,000,000,001円~(10億円超) | 200,000円 |
約束手形は印紙をはるのは振出人ですが、為替手形を約束手形の代用として2者間で使われる場合、印紙を貼るのは約束手形のと同様に、「振出人」が貼るものだとの認識で、為替手形の場合も受取人にあたる振出人が貼るものとして、使われている場合も多いようです。これは、『手形の印紙は金額を補充した人が納税義務者』)(国税曰く)ということ、および約束手形の代用としての意味からすれば、為替手形の場合は(金額欄の補充者ではなく)金額を補充した人は実際の支払人である引受人(約束手形なら振出人)ですので、どちらが貼ってもかまいませんが、引受人が貼るのが本来の姿ではないかと思います。
手形の相 【てがたのそう】
「手形割引業者」は、普段からよく『手形の相がいい』とか『手形の相が悪い』とかいう言葉を使います。これは、人相と似たように、手形にも「相」があって、手形を見た時に、性質や気持ちが伝わってくる時に使います。
具体的にどんな時に『手形の相が悪い』と感じるかといいますと、「融通手形」(商取引の裏づけのない、資金繰りのために振り出された手形)と思しき手形にお目にかかった時、はよく感じます。商取引の裏づけがないので、支払金額、支払日、振出日、支払銀行他の手形要件にしても、つじつまが合わなかったり、アンバランスで不恰好?な手形がほとんどで、『希望の資金を簡単に手早く作りたい』の気持ちが手形にあらわれているからです。ただ、その『相』を的確に捕らえる事が出来るようになるには、手形割引業者のベテランでかなりの年季が必要です。
手形パクリ屋 【てがたぱくりや】
パクルとは、騙し取ることの俗語ですので、言葉のとおり手形を騙し取る者をさしてつかいますが、古くはかなり聞きなれていましたが、少し古い言葉で、最近はあまり使われなくなっているようです。
手形不渡り 【てがたふわたり】
手形の不渡りのことで、不渡りについては、用語集の【不渡り】ふわたりの所に詳細をのべていますが、不渡り(ふわたり)とは、手形や小切手の支払期日を過ぎても債務者から債権者へ額面金額が引き渡されず決済できないことをいいます。簡単に言えば、取立に出した手形(交換に出して支払いを呈示した手形)が、何らかの理由で、支払期日に決済されずに、その手形が戻ってくることで、手形が不渡りになることです。又、その戻ってきた手形を、不渡り手形といいます。
手形用件 【てがたようけん】
手形には法律に定められたとおりに書かなくてはなりません。手形の必要な記載事項で必ず記載しなければならない8項目があります。
(1)~(8)
(1)約束手形である事を示す文言と、支払いを約束する文言
約束手形用紙の左上の「約束手形」の文言(印刷済)支払い金額欄の下の「上記金額をあなたまたはあなたの指図人へこの約束手形と引き替えにお支払いいたします」の文言(印刷済)は統一手形用紙に印刷してありますから書く必要はありません。
(2)支払金額
金額は大事な箇所でアラビア数字をチェックライターで入れるのが基本です。金額を手書きで入れる時は、
金額欄 ¥ ※
壱、弐、参、四、伍、六、七、八、九、拾、百、千、萬、・・・・」のように必ず漢字で、頭に「金」最後に「也」を入れます。
ポイントは、訂正がきかないので、間違ったときは正しい金額を入れた新しい手形を振り出してください。又、二本線で金額を訂正した手形等は、銀行も取り扱いませんので、絶対に受け取らないようにして下さい。
(3)受取人の名前
支払金額欄の上の名宛 殿
(4)支払期日(満期日)
手形面の右上部
(5)振出日
金額欄の下で、未記入でも実務上は処理はされますが、必要項目ですので記入が原則です。
(6)振出地
振出人の住所を書く欄です。
(7)支払地
統一の約束手形用紙には、印刷済です。
(8)振出人
法人の場合は、代表者の肩書、代表者個人の氏名を書いて、銀行届け印を、明瞭に押してください。
手形用紙 【てがたようし】
手形用紙には、きまりがあります。銀行所定の用紙を使用しなければなりません。手形小切手法では用紙の制限はありませんし、要件(手形用件)を満たしてさえいれば良いと いうことになっていますが、実際には誰も受け取ってもらえませんし、手形が本来の流通証券にならなくなります。 現在は、手形用紙が統一され、すべての銀行がこの規定に従い、規定以外の手形の支払いはしないことになっています。
手形用法 【てがたようほう】
手形割引 【てがたわりびき】
手形割引(てがたわりびき)とは、満期前の手形を第三者へ裏書譲渡し、満期日までの利息に相当する額や手数料を差し引いた金額で売却することをいいます。手形割引を依頼したものを割引依頼人、手形を割引した方を割引人、割引かれた手形のことを割引手形(わりびきてがた、略称は割手)といわれています。
満期日まで待って手形の振出人に支払いを請求する場合(銀行取立)に比べて受け取る金額は少なくなりますが、即時に現金化したい場合によく用いられ、単に割引と略称されることがあります。
法律的には、手形割引とは、貴方が手形を商品として売り、支払期日までの金利相当額(割引料)を銀行(又は手形割引業者)が差し引いて買い取り、差額を現金として貴方が受け取ることをいいます。